前回は大学側の観点から書いたんですが、今回はソフトの開発側から「鶏と卵」の話をしたいと思います。
そもそも、なぜ教育用のソフトウェアのライセンスは企業で買う時よりも安いのか?それも格安で。
以下、わたしの考察です。
開発側としては、「ソフトウェアを安く提供することで教育に貢献したい」という論理はほとんどないと思います。
こう考えているんであれば、多分間違い。
今、大学で使われているソフトを考えると、ほとんどが欧米製です。
つまり、彼らにとって日本の教育や科学技術の発展に貢献する理由があるでしょうか。国際競争の観点で考えると、優秀な人材を自国に取り込みたい、というのが最近の流れだと思うので、例えば、「優秀な留学生はうちに来てほしい」と思うはずです。
大学が鶏
では、なぜ、教育用ライセンスは安いのか。
それは、「大学で使っていれば、企業に入ったときに、そのソフトを使い続けたいために企業ライセンスを購入してくれる」という期待があるからです。
大学が「鶏」で、企業が「卵」の関係です。
確かに、これは成り立つ部分はありますが、前回書いたようにこれはすべての場合に割り当てられるわけではないのです。
また、企業が大学の先生と共同研究をするときに、大学の先生に合わせて企業用のライセンスを買うこともあるでしょうが、これはどちらともいえないです。逆のケースもありうるでしょうし。
企業が鶏
大学側が「即戦力を育成したいために企業で使われているソフトを導入する」といういう観点からは、大学が「鶏」ではなく、企業が「鶏」で大学が「卵」です。
何か全く新しいソフトが世の中に現れ、それが先に大学に導入され、そこから市場に広まるというのは、まれにしかないのではないかと私は考えてます。
もちろん、大学発のソフトもありますけど、、、
ただ、ビジネスにできるかは微妙かな。大学の先生は大学から給料をもらいながら開発できるけど、企業としては売上をそのソフトからもらわないと、どこからもお金は出てきません。
皆さんはどうでしょうか?
全くの他人
「どうせ企業で再教育を受けるのだから」という視点では、ソフトは何でもいいので大学側は独自に決められます。
そうなると、開発元としては教育用のライセンスを安くする理由はなくなります。つまり、大学と企業の関係は「親子ではなく他人」ということになります。
これは、開発元にとっては一番いやなケース。つまり関連がないのに、「大学はお金はないから」と安くしていることになります。
そうなると、本当はもっと高く売りたい、企業にも売りたいと思っているのに、大学で完結してしまうことになります。
なかなか、この関係は難しい。なかなかWin-Winとはいきにくいです。
Win-Winは、大学でも企業でも、どちらでもそのソフトが主流となったものだけですね。
他にもいろいろ考えつくことがありますが、この辺りでやめておきます。